空飛ぶロボット(フライングロボット)とは?
空飛ぶロボットとは、フライングロボットとも呼ばれ、英表記ではFlying Robotsです。測量や点検など産業界でドローンの利用が進むにつれて、俯瞰した画像や映像を撮影できることをさして、ドローンは空飛ぶロボットと評されるようになってきました。
しかし、空飛ぶロボットとは、ただ単に空撮できるだけの機械ではありません。すでに地上で働くロボットが人間の代替としてこなしているようなさまざまな仕事を、空からアプローチして自律的に行えるようになってこそ、真の空飛ぶロボットと呼べるのではないでしょうか。
空飛ぶロボットとドローンの比較
それでは、空飛ぶロボットとドローンを比較すると、どんな違いがあるのでしょうか?それは、従来のドローンが空飛ぶカメラ(フライングカメラ)であり、人間の目の移動に過ぎないのに対して、空飛ぶロボットとは、人間の目を拡張し、さらには手足の移動を実現するという点です。
従来のドローンは、機体前方にカメラが1台搭載されています。ドローン空撮では、まるで鳥のように空を飛びながら景色や対象物を見ているような、驚きや利便性を得られます。これは、目の移動です。
空飛ぶロボットは、機体前方以外の好きなところに、複数台のカメラを搭載できます。従来のドローン空撮では不可能だった撮影や映像表現が可能となります。これは、目の拡張です。さらに、機体に物を掴んだり壁を這ったりできるパーツを組み合わせることで、多岐にわたる業務を担えるようになるでしょう。これが、手足の移動です。
エアロネクストが考える、空飛ぶロボットの用途事例
従来のドローンが、第2世代ドローンへと進化したものこそ、空飛ぶロボット。この進化の鍵を握るのが、エアロネクスト独自開発の重心制御技術「4DGRAVITY®︎」です。機体の飛行部と搭載部を分離結合させ、どんな形状の搭載部でも水平を保つことが可能になります。
空飛ぶロボットの用途事例(1)橋梁点検
橋梁点検では、ドローンが橋桁の下に入るとGPSが切れたり、強風に煽られたりして、操縦・撮影ともに難しくなるという課題がありました。例えば、長い棒の先端にカメラを付けてそれをドローンの機体に装備すれば、点検したい箇所から距離を保ってドローンを安定飛行させたままで空撮が可能となります。
空飛ぶロボットの用途事例(2)360°空撮
360°空撮では、ドローンに360°カメラを装備してフライトした際、映像がぶれたり、機体が写り込んだりするという課題がありました。例えば、棒の上下に180°ずつ撮影可能なカメラを付けてそれをドローンの機体に相違すれば、1回のフライトで360°動画を撮影でき、空撮後のデータ加工や処理にかかる工数を大幅に削減することが可能です。
「4D GRAVITY®︎」とは?
エアロネクストが独自開発したドローンの重心制御技術「4D GRAVITY®︎」とは、ドローンを飛行させるための飛行部(アーム、モーター、プロペラなど)と、ドローンが目的を達成するための搭載部(カメラや荷物の格納ボックスほか仕事をするために必要な装備)を分離結合させて、搭載部の水平を維持する技術の総称です。4D GRAVITY®︎は、モーターへの負荷軽減にも役立ち、ドローンの安定性や信頼性、耐風性や燃費効率の向上を図ることができます。
ドローンの動きを制御するのはソフトウェアだけで十分か?
エアロネクストは2019年5月、中国の深センに現地法人を設立して、開発パートナー企業や組織とともに、4D GRAVITY®︎の用途開発を進めています。しかし、4D GRAVITY®︎を中国のエンジニアに紹介した当初は、「機体制御の課題は、ソフトウェアで解決できる。だから4D GRAVITY®︎は、面白いけど必要ない」と言われました。
その理由は、空飛ぶカメラを前提とした議論だったからです。
「ドローンで本当にやりたいことは、カメラをぶら下げて飛ばすことだけですか?」
カメラを2個付けないのか?横にも付けたくないか?空中で作業をできる「手」を付けたくないか?空飛ぶロボットとしての挙動を制御するには、ハードウェアとソフトウェアのコンビで処理した方が、効率がよいのではないか?
こうした問いを投げかけてみると、ドローンの聖地といわれる深センにおいて、第一線で活躍しているドローンエンジニアたちも、次第に目の色が変わっていきました。
いま、ドローン開発の議論は、「空飛ぶロボット」へと移行しつつあるのです。
深圳ラボで、空飛ぶロボット開発中
2019年11月18日、エアロネクストは深圳市内に、空飛ぶロボットの社会実装を加速させるため、南方科技大学と共同で研究開発ラボ “SUSTECH(SIR)-AERONEXT Flying Robots Technology Shenzhen Lab”を設立しました。
5年間という期間を設けて南方科技大学ロボティクス研究院(SIR:SUSTECH Institute of Robotics)と連携し、ドローンの要素技術の研究開発、データ獲得、空飛ぶロボットの具体的な用途開発、人材育成や獲得などを進める予定です。